ソーシャルレンディングよりも高配当株投資をすべき

ソーシャルレンディングとは

 企業が事業をするにはお金が必要です。今までであれば銀行がお金を貸していましたが、個人がお金を貸すことができる仕組みとしてソーシャルレンディングという手法が確立されました。

 ソーシャルレンディング事業者が仲介業者となって、多数の個人投資家からお金を集めて、集団でお金を貸す仕組みになっています。小さい金額から投資ができ、利回りが高いものが多い印象です。投資信託に似た仕組みだと思います。

個人投資家目線のソーシャルレンディング会社

 個人投資家から見たソーシャルレンディング会社を利用するメリット・デメリットをまとめてみました

メリット

1万円からの少額投資

 1万円から投資可能となっている案件がほとんどです。株式投資をする場合だと、単元株数である100株を購入しようとすると十数万円かかるケースがほとんどです。また、不動産投資だと数百万円の自己資金が必要です。他の投資方法に比べて少額から投資することができるのは大きなメリットです。

高利回り案件多数

 ソーシャルレンディングは一般的には高利回りです。例えばSBIソーシャルレンディングで取り扱っている案件は、3-10%となっています。案件をいくつか見ていくと、利回り6%前後のものが多い印象です。72の法則(元本が2倍になる年数=72/利回り)を計算すると、約12年となります。非常に夢のある投資先になっています。

審査済みの案件のみを紹介

 ソーシャルレンディング会社は独自に投資先の会社を調査しています。貸し倒れ(デフォルト)や倒産のリスクの少ない貸付先を紹介してくれます。しかし、SBI グループが100%出資している「SBIソーシャルレンディング」でも貸し倒れ(デフォルト)は起きています。過信は禁物です。

利益20万円までは税金がかからない

 ソーシャルレンディングの利益は雑所得扱いです。つまりは利益20万円までは税金がかかりません。利回り8%の案件に200万投資し、年間16万円の利益をそのまま受け取れるイメージです。

デメリット

融資先の貸し倒れや返済遅延リスク、倒産リスクがある

 ソーシャルレンディング会社は、個人投資家と企業から手数料を取り、リスクは個人投資家に押し付けているビジネスモデルです。銀行が貸せないと判断した会社の事業が集まっているため、高金利となっています。投資額が全損になる可能性はかなり高いです。

途中解約できない

 SBIソーシャルレンディングを見てみると、予定運用期間は10-20ヶ月の案件が存在していました。その期間は企業にお金を貸し付けているため、解約が絶対にできません。そのため、急にお金が必要になったときにお金を引き出すことができません。また、景気が悪化した際に資金を引き上げることもできません。

 投資のタイミングを柔軟にコントロールできないので、あくまでもハイリスク・ハイリターンの資産運用の1つの方法として考えておくくらいでちょうどいいと思います。

運用会社の不正を行っていても見抜くことは難しい

 過去にはソーシャルレンディング会社が資金を不正に利用し、貸し倒れ(デフォルト)した事件が起きています。

 2017年3月に「みんなのクレジット」が、説明した事業ではなく自社のグループ企業に貸していたということが明るみに出ました。

 2019年3月、当時のソーシャルレンディング会社の最大手であった「maneo」が、事前の説明と違う形で資金を使用し、約130億円返済できなくなっています。現在進行系で全国の投資家から損害賠償を請求されています。

 このようにソーシャルレンディング会社自体が信用できない状態です。会社の設立目的が資金の持ち逃げだったのではと思えてきます。

個人投資家保護の法律、仕組みが存在しない

 ソーシャルレンディングで貸し出しているお金には何の保証もない状態です。ソーシャルレンディング会社が万が一倒産した場合は、おそらく回収することは難しいでしょう。

 銀行の預金であれば、1,000万円までなら元本と利息を保証してくれるペイオフという制度があります。証券会社に預けたお金も1,000万円までは日本投資者保護基金が保護しており、株券は証券保管振替機構 (ほふり) が保管しているので安心です。

融資を受ける企業目線のソーシャルレンディング会社

メリット

銀行から融資を受けるよりも敷居が低い

 ソーシャルレンディング事業者は手数料で稼ぐビジネスモデルです。損失は個人投資家が全てを負う仕組みです。お金を貸せば貸すほど利益が出るので、お金を非常に借りやすい環境になっています。

デメリット

銀行よりも高い金利

 個人投資家に支払う利息とソーシャルレンディング会社への手数料を支払う必要があります。具体的に言うと高利貸しの消費者金融のような存在です。銀行からお金を借りることができる企業であれば、おそらく絶対にソーシャルレンディング会社からお金を借りることはないでしょう。

 あくまでも「銀行からお金を借りれなかった案件」なので、ハイリスクです。

高配当株投資とソーシャルレンディングの比較

 ソーシャルレンディングの利回りは、3-10%です。日本の高配当株の利回りは約4%前後になっています。米国株を見てみると、バンガード 米国高配当株式ETF(VYM)やiシェアーズ コア米国高配当株 ETF(HDV)は約3%になっています。

 投資家保護の仕組みがあることを考慮すれば、長期的に安定したキャッシュフローが見込めるのは、高配当株です。5%以下のソーシャルレンディングはハイリスク・ローリターンで割りに合わない投資だと思います。

まとめ

  • ソーシャルレンディングは高配当株投資と比較してハイリスク・ローリターンである。
  • ソーシャルレンディング会社の不正が横行しているが、投資家を保護する仕組みも法律も存在していない。
  • 現在(2019年11月)では、ソーシャルレンディングに参入するのは危険だと思われる。

YouTubeで解説中